成功に不可欠な
自分を動機付ける力

 自分のモチベーションを高めることは難しい。実際、筆者はしばしばドイツの『ほらふき男爵の冒険』に登場する、ミュンヒハウゼン男爵の超人技の一つを引き合いに出す。この本には、主人公の男爵が自分で自分の髪を引っ張り上げることで、底なし沼から脱出する話が出てくる。同様に一つの任務やプロジェクトのみならず、職業人生を通じて自分のやる気を保つことは、超人技と思われることがある。人間には不断の努力を嫌う生来の傾向があり、どれほどカフェインを投与しようとも、やる気を鼓舞する張り紙を掲げようとも、これを変えることはできそうもない。

 とは言え、好業績を上げるプロフェッショナルとその他大勢の違いの一つが、うまく自己を動機付ける能力であることは間違いない。どうすれば私たちは、やる気の出ない時でも前進を続けられるのだろうか。

 動機付けは、ある程度は個人的なものである。あなたには有効なことが、私には無効かもしれない。また、ある人は他の人よりも根気強さを持っているように見える。しかし、20年を費やして人間の動機付けについて研究した結果、筆者たちのチームは、減量や老後資金の準備、仕事における長期の困難な取り組みなどのいずれにおいても、大半の人に有効と思われるいくつかの戦術を見出した。