社外取締役に対しても
タイムリーに情報を開示
岡部 海外子会社や現地法人で法務・コンプライアンスの責任者を採用する場合、小幡さんが直接面接されているそうですね。
小幡 以前は現地に任せていたのですが、海外の人たちは誰に採用されたか、誰が自分の人事監督権を持っているのかを日本人よりも強く意識します。ですから、いまは私が現地とともに面接し、採用の際には「東京本社にきちんとレポートする」ということを約束させています。
新たに採用した人や買収によってグループに加わった法務・コンプライアンス責任者には、NECの法務グループとしての行動指針(英文)を渡し、それをよく読んで、いついかなる時も、それを意識して行動するように指示しています。
例えば、自分が所属する会社のトップの判断や指示が法務・コンプライアンス上、正しいかどうか迷うようなことがあったら、必ずその行動指針を読み返すように言っています。そして、「何か困ったことが起きたらグループファンクション長として必ずあなたたちを支え、私が責任を取る」と話しています。
岡部 グループファンクションをうまく機能させるためには、日頃からの意思統一やコミュニケーションが重要ですね。
小幡 各グループ会社の法務・コンプライアンス担当者とは個別に定期的なウェブ会議を行っているほか、RHQと主要子会社の法務責任者を集めた年に1度のグローバルミーティングも東京で開催しています。グローバルミーティングは今年で10回目になりましたが、夜にはレセプションを開くなど懇親も深めています。
エリアごとに法務担当者が集まる分科会も行っているのですが、そのような場を通じて機能ごとの連携も深まりつつあります。
岡部 海外子会社に対する内部監査も小幡さんのご担当ですね。内部監査については、どのような体制で臨んでいますか。
小幡 事業形態やさまざまな法制度が絶えず変化する中で、監査部門に求められる能力、資質、素養は以前に比べて格段に高くなっています。社内で監査要員を育成し、能力アップを図っていますが、すべての海外子会社に対応するのは限界があるので、そこはグローバルなネットワークを持つ監査法人とうまく連携を取りながら対応しています。
岡部 コンプライアンスやリスク管理については近年、投資家や社会からの目も厳しくなっています。
小幡 当然ながら監査役にはこれまでも定期的な報告を行ってきましたが、社外取締役にもコンプライアンスの状況についてタイムリーに把握してもらうため、取締役会で四半期に一度、内部監査の状況を報告したり、半年に一度、重点対策リスクに対する施策と進捗状況を報告したりしています。また、社内のリスク・コンプライアンス委員会に上がってきた事案については、毎月の取締役会で私が報告しています。
報告した案件に対しては、社外取締役からさまざまなご指摘やアドバイスがあり、コンプライアンスに対する関心の高さを強く感じています。