タイガー・ウッズの不祥事の後……

 2009年12月、アクセンチュア、AT&T、ゲータレード、ゼネラルモーターズ、ジレット、ナイキ、タグ・ホイヤーをはじめとする企業のマーケターたちは、困難な判断を迫られた。これらの企業と契約を結んでいたタイガー・ウッズの不倫と、夫人との口論、その結果起きたとされる交通事故について、タブロイド紙が報道したのである。ウッズは自分の行動についてある程度公式に謝罪し、ゴルフ競技から無期限に身を引くと発表した。

 その後何日にもわたり、彼のさらなる不徳行為を報じる記事が続いた。ウッズを見捨てるべきか、最後まで契約を続けるべきか。続く数週間、株価の降下により、ウッズを広告に起用していた企業の投資部門は120億ドルを失った。関係企業のマネジャーたちはいかに損害を軽減するかという問題に直面した。

 過去の調査から、契約する著名人がスキャンダルに巻き込まれると、企業は経済的な打撃を被る傾向にあることがわかっていた。しかし、実践的な指針となるようなガイドブックはない。「企業がいかに損失に対処できるかという研究は、まったくありませんでした」とコネティカット大学のマーケティング担当教授スティーブン・ホックは言う。というわけで、同教授と、志を同じくするベルリン自由大学のサッシャ・ライテルが調査に着手した。