アマゾンでさえも
景気後退の犠牲になっていたかもしれない……

 2000年初頭、「アマゾン・ドットコム」という、誕生してまだ5年のオンライン書店が6億7200万ドルの転換社債を販売して、財務体質を強化した。1カ月後にドットコムバブルがはじけた。その後数年のうちに、デジタルスタートアップの半分以上が倒産したが、その中には、eコマースで当時アマゾンとしのぎを削っていた多くの企業も含まれていた。

 もし、バブルがほんの数年早くはじけていれば、史上最も成功した企業の一つが、あの景気後退の犠牲になっていた可能性は十分にあるのだ。

 景気後退(2四半期連続でマイナスの経済成長と定義されている)は、経済ショック(原油価格の急騰など)か、金融危機(2000年代の大不況(グレートリセッション)の前に起きたような事態)、景気に対する期待の急激な変化(ジョン・メイナード・ケインズが命名した「アニマルスピリット」〈野心的意欲〉は、ドットコムバブルとその後の破裂を引き起こした)、あるいは、この3つのうちのいくつかが組み合わさって引き起こされると言ってよさそうだ。