少子高齢化による人口減、労働人口や需要の減少など、これから起こる日本社会の変化に対し、中小企業は大企業よりも厳しい闘いを強いられる。中小企業が生き残るために、いま経営は変化できるのかを迫られている。そのために必要なのはテクノロジーだと考え、実践しているのがクラウド会計ソフト「会計freee」などを提供するfreee(フリー)だ。中小企業が目指すべき4つの方向性を佐々木大輔CEOに、また上場までの財務戦略を東後澄人CFOに、それぞれ伺った。

インターネットが中小企業に与えたインパクト

freee株式会社
CEO
佐々木大輔 DAISUKE SASAKI
一橋大学商学部卒。実家は下町の美容院。博報堂、株式会社ALBERTでCFO(最高財務責任者)、Googleで日本およびアジア・パシフィック地域における中小企業向けマーケティングを統括。Googleで感じた社会課題を解決すべく、2012年7月 freeeを設立。

佐々木大輔「freeeのミッションは、『スモールビジネスを、世界の主役に。』。スモールビジネス、つまり中小・中堅企業こそ、テクノロジーによる変革が必要と考えています。

 私の実家は下町の美容院で、小さい店の大変さを身近に見て育ちました。その後、Googleで日本を含むアジアの中小企業向けマーケティングを統括。この経験の中で、中小企業にテクノロジーを普及させる必要性を実感したことが、今のビジネスの原点です。

 インターネットは、中小企業の経営に大きなインパクトを与えました。インターネットによって、世界中の見込み顧客へのアクセスが可能になり、大企業と同等のシステムを安価に利用できるようになったのです。

 せっかくこうしたテクノロジーがあるのに、日本の中小企業ではまだあまり利用されていないのが現実です。中小企業を取り巻く環境は、いま非常に厳しくなっています。日本の生産性が先進国の中で最下位であることはよく知られていますが、その中でも中小企業の労働生産性は大企業よりさらに低い。中小企業白書によれば、大企業と中小企業で比較すると2倍以上の差があります。

『人』については、さらに厳しい現実があります。大企業の1つの採用枠に3人の学生が応募してくるのに対し、中小企業は1人の学生を10社の求人で取り合うような状況なのです」