ほとんどの消費財メーカーは、過当競争を強いられている。そのなかで生まれてきたのが「多機能製品」という知恵である。事実、消費者はさまざまな機能が搭載された製品を選好する傾向が強い。ところが、実際に使用してみると、使い勝手の悪さにいらだち、返品、乗り換え、悪評といったかたちで、そのうさを晴らす。このように購買時には魅力だった多機能は、使用後には無用の長物へと一変する。いわんや、リレーションシップが深まることも、顧客生涯価値が高まることもない。顧客満足度は性能だけでなく、使い勝手とも相関関係にあるのだ。では、どのようにそのバランスを図ればよいのか。筆者らは、性能と使い勝手が消費者心理に及ぼす影響を調査し、その最適なバランスを見極めるための数的モデルを提示する。