意思決定の質は、能力のみならず感情にも左右される。当たり前のことだが、実際には、多くの人々がこの事実を無視している。あまつさえ、直感や第六感など、口にするのもはばかられる。優れた意思決定は理性と知性、論理の産物なのだと。しかし、脳のメカニズムに関するさまざまな調査が、このような常識的な考え方に疑問を呈しつつある。まず脳は、理性だけで正しい判断を下せない。その逆もしかり。脳は、過去の経験に引きずられ、必ずしも合理的に判断できない。脳は、論理を超えた意思決定を導く等々――。本稿では、脳研究に関する最新動向を紹介しながら、意思決定にまつわる誤解を正し、新しい真実を解説する。