日本企業はポストコロナを生き抜くためにどのようにビジネスの未来図を描くのか

── ポストコロナの日本企業に何を期待しますか。
今の日本は「課題先進国」といわれています。日本が「課題先進国」だからこそできる課題解決に向けた取り組みの行方は、今後も世界から注目を集めるでしょう。先ほどお話しした「日本企業にとって好機と捉えるべき」との趣旨はここにあります。日本企業が「世界の進むべき道筋に『課題解決先進国』として光を照らしリードする」というビジョンを掲げ、その実現への思いを新たにすることは、世界的に見ても意義深いと考えています。
これからの日本企業は、そうした社会的大義(パーパス)を念頭に、両極が拡大する中におけるビジネスの未来図を描き、自己変革を加速させ、世界最先端の課題を抱える世界の中心的解決者になってほしいと願っています。
── ″D″Xから″d″Xへ、世界や日本社会の未来に向けて一言お願いします。
デジタル化は、人間の領域を奪い取る脅威も併せ持っています。だからこそ、データを誰のためにどのように使うのか、という人間の強い意志が求められます。これから目指すべきデジタル化はあくまで「人間中心」であるべきです。
両極化の時代の本質は、中途半端なものがそぎ落とされる中で、本来的に人間が必要とするものや将来に向けて人間が強く希求するものが顕在化することにあります。この本質を捉えなければならないのです。
それ故に、これからの両極化の時代においては、本来の「人間にとって幸せな社会とは何か」という根源的なテーマへの探求と、その価値観を具現化する未来図を描かなければなりません。
日本社会・日本企業は、歴史と伝統を重ねて磨き上げてきた「人間」としての力や営みの集積としての強みを有しています。ポストコロナの世界において、日本企業こそが、社会的な大義の下に率先してdXを推進していくことが、日本が世界で輝き続け、未来に向けた道筋を自ら切り開くことにつながるのではないでしょうか。その強い意思と覚悟をわれわれが持つことによって、両極化の時代が多くの日本企業にとって、新たな飛躍と繁栄の時代になっていくと確信しています。