-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
-
PDFをダウンロード
意思決定力は高収益組織の条件
意思決定は、産業界に流通する一種の通貨のようなものだ。いかなる成功も失敗も、またチャンスをものにできるか否かも、だれかの判断がうまくいき、だれかのそれがしくじったかの結果である。
多くの企業において、たいてい意思決定権は奪い合いになる。個々の利害に大きく関わってくるからだ。したがって、意思決定は組織能力を左右する。業種、規模、知名度のいかんを問わず、またいかに戦略が優れていようと、的確な意思決定が素早く下せなかったり、その意思決定をきちんと実行できなかったりすれば、事業基盤は揺らいでしまう。
しかるべき意思決定をしかるべきタイミングで下していることが、高業績組織に共通する特徴である。グローバル企業350社の経営陣を対象に調査したところ、競合他社よりも組織の生産性が高いという自信を示したのは、わずか15%にすぎなかった。実際、これら高業績組織の優位とは、意思決定の質であり、そのスピードであり、実行力だった。
生産性の高い組織は、戦略上の意思決定、つまり市場への新規参入あるいは撤退、買収や売却、資源配分や人材配置に関する判断が優れている。また、一貫性とスピードが求められる業務上の意思決定、すなわち、どのように製品のイノベーションを推し進め、どのようにブランドをポジショニングし、どのように流通パートナーとつき合うのかといった課題でも強みを発揮している。
とはいえ、毅然とした行動力で定評ある組織でさえ、だれが、どの課題について意思決定するのかについてあいまいになっていることが少なくない。このような場合、意思決定プロセスで足踏みしかねない。そのようなボトルネックが生じるのは、次の4つの利害対立においてである。
・グローバル対ローカル
・本社対事業部
・部門対部門
・社内対社外パートナー
グローバル対ローカルによるボトルネックは、ほぼすべてのビジネスプロセスや部門で発生する。なかでも代表的なのは、ブランド・マネジメントや製品開発にまつわる問題であり、とりわけローカル市場のニーズをどこまで製品に反映させるべきかをめぐって意見が対立しやすい。同じくマーケティングでも、プライシングや広告にまつわる決定権をローカルに与えるべきかどうかで問題になりやすい。