合弁事業のROAは高い
不況の時代を生き抜き、景気が回復した際に事業を活性化させるため、企業はありとあらゆる手段を必要とするだろう。業務のつながりを見直し、資源を再配分し、場合によってはビジネスモデルの変革を図らなければならない。
ジョイントベンチャー(合弁)とパートナーシップ(提携)は、多くの企業でそうした取り組みに大きな役割を果たすだろう。それは不況時にコストを分担し、必要資本を減らす手段であると同時に、不況が終わった後の成長に備えるための方策でもある。
現実として、自動車、小売り、石油・ガス上流部門など、多大な重圧を受けている産業では、合弁が当たり前のようになっている。たとえば、ゼネラルモーターズ(GM)とフォルクスワーゲンはそれぞれ何十もの合弁契約を結んでいるし、国際的な石油・ガス大手の上流(生産)活動のほぼ8割は合弁が占めている。こうしたエネルギー関連企業では、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換に対応するうえでも合弁は重要だ。洋上風力発電や太陽光発電の大規模資産の半分以上は、合弁の形で運営されている。そのような投資形態は、ロイヤル・ダッチ・シェル、BP、トタル、エクイノールといった企業がリスクを分担し、能力を築き、温暖化ガスの排出量を減らすという意欲的な目標を達成するために欠かせない手法である。