シーメンスは、創業一五〇余年の歴史と何よりその優れた技術力を誇ってきたが、長らく業績は低迷していた。これを見事復活させたのがハインリッヒ・フォン・ピーラーである。「ナンバー・ワンか、ナンバー・ツー以外の事業からは撤退する」という考えの下、果敢にリストラを進める一方、アメリカで上場を果たすなど、ドイツ企業の「アメリカ化」ともいえる改革を推し進めた。しかしピーラーは、その根底に揺るぎないドイツの価値観があったからこそ成功したと語る。