私たちは在宅勤務に
慣れてきたように見えるが……

 新型コロナウイルスの感染拡大によりオフィスが閉鎖され、在宅勤務が始まってから1年近く経つが、毎日の生活は以前のままのようにも思える。毎朝7時に起床して食事の用意をし、オンライン授業を受ける息子の手助けをし、間に合わせの自宅内の仕事場で仕事に没頭し、運動し、夜には疲れ果ててベッドに倒れ込む。

 以前はオンとオフの切り替えが難しいと感じていたけれど、いまは仕事とプライベートの境界が完全になくなってしまった。多くの人が似たような状況に置かれており、これはもはや単なる在宅勤務ではないと指摘する。私たちは職場で暮らしているのだと。

 なかには在宅勤務になったおかげで生産性が向上したという人もいる。私自身、仕事も家事も以前より多くこなせており、家族との時間も増えたと感じている。さらに、いつ何を行うかをより柔軟に決められるようになったため、たとえばメールの返信は夜に行い、日中は家族と過ごすといった時間の使い方も可能である。在宅勤務がパンデミックの以前から増えつつあったのは、こうしたメリットがあるからで、いまでは会社も社員も、新しい働き方にだいぶ慣れてきたように見受けられる。