
公平であるべき勤務評定に、人種やジェンダーによるバイアスが含まれていることが明らかになった場合、あなたはリーダーとしてどう対処するだろうか。バイアスのある評価を下したマネジャーに個別に対処するのではなく、組織文化から変革すべき課題として全社的に取り組む必要がある。そこで筆者らが推奨するのが、データに基づいた「バイアスの遮断」と呼ばれる介入措置だ。本稿では、勤務評定に影響を与える4つのバイアスについて概説し、実際に介入措置を講じたある法律事務所の例から、その有効性を論じる。
2年ほど前、米国の中堅法律事務所が、勤務評定にバイアスがかかっているようだとして、カリフォルニア大学ワークライフ法律センターに相談をしてきた。
その法律事務所のダイバーシティ・アンド・インクルージョン担当ディレクターが、一部の勤務評定にバイアスがないか無作為に調べたところ、複数の「危険信号」が見つかったという。そこで、個別に対処するのではなく、データドリブンのアプローチを取ることに決めた(筆者らの出番だ!)。
まず、筆者らが法律事務所の勤務評定について監査を実施したところ、大多数は有意義で適切のようだった。だが、データの詳細を見ていくうちに、人種とジェンダーによって厳然たる違いがあることが明らかになった。
最も明確な違いは、非白人の場合、勤務評定の中でリーダーシップについて言及されている割合が9.5%しかなかったことだ。この数字は、白人女性と比べて70%以上少ない。当然のことながら、勤務評定にリーダーシップに関する記述がある人は、翌年のコンピテンシー評価が上がるのが一般的だ。
そこで、いくつかの介入措置を講じることを推奨した。筆者らが「バイアスの遮断」(bias interrupters)と呼ぶものだ。そして、それらの有効性を翌年度の勤務評定で検証することで合意した。
その結果はどうだったか。介入措置は実際、抜群の効果を発揮した。1年間で、勤務評定のバイアスに劇的な改善が見られたのだ。その概要を以下に紹介しよう。