
言うまでもなく、優秀な社員が辞めると企業は大きな損失を被る。チームのパフォーマンスや生産性は低下するし、その穴を埋めるための採用活動にはコストが生じる。どうすれば離職者を減らすことができるのか。筆者は長年の実務と研究を通じて、リーダーによる8つの間違った行動が人材流出の原因になることを突き止めた。
人材管理でアルゴリズムの存在感が増している。履歴書をふるいにかける作業から、昇給者の決定まで、その利便性の高さが明らかになる領域は、どんどん広がっている。
だが、ひょっとすると最も貴重なのは、辞めやすい従業員を予測する能力かもしれない。IBMは、人材流出リスクを95%の精度で予測できるというアルゴリズムの特許を出願中だ。現在の人材マーケットは売り手市場なだけに、これは企業にとって重要なイノベーションである。現在、米国の求人数は失業者数を上回る。
従業員が1人辞めるだけで、チームの士気は劇的に低下し、新たな離職希望者が現れ、チームのパフォーマンスや生産性が低下する恐れがある。言うまでもなく、そのコストは高くつく。人材が失われるだけでない。その穴を埋めるための採用活動には、平均24日、1人最大4000ドル(業界によってはおそらくもっと多く)のコストが生じる。
幸い、入社から1年以内にやめる従業員は約4分の1にすぎない。すなわち人材流出リスクを評価し、それに対処する時間は十分ある。
とはいえ、すべての会社が最先端のアルゴリズムを活用できるわけではない。行動パターンから「誰が」辞めるか特定できる予測モデルも、「なぜ」辞めるのかという理由までは突き止められないことが多い。それはおそらく、人が仕事を辞めるのには、いろいろと複雑な理由があるからだ。
筆者は過去15年間、データサイエンスを駆使して、従業員維持、学生維持、そしてさまざまな業界(ヘルスケア、エネルギー、高等教育など)のカスタマーチャーン(解約)の予測モデルをつくってきた。その仕事を通じて、「なぜ」人は会社を辞めるのかに関連する、リーダーシップの間違いが8つわかってきた。
この8つと、それがチームに与える影響を理解すれば、アルゴリズムがなくても辞めるリスクの高い人を特定して、それを思いとどまってもらう工夫ができるようになるだろう。