中国政治システムの源は
秦の始皇帝にある

 筆者は約30年にわたって、中国の政治・経済、日中・米中関係を専門とする研究者として活動してきた。その立場から、本特集における前掲の3つの論文について論評するとともに、それぞれの論文に触発されつつ筆者の考察を述べてみたい。

 3つの論文全体を総括すると、おおむねポジティブに評価できる内容である。それぞれが興味深い問題提起を行っており、論じているテーマに関してはよく分析されているという印象を受けた。しかし、視点はいいものの、新味は少なく踏み込みが甘い点も散見された。

 中国社会は、表面と実態の間に相当の隔たりがあり、目の前の現象を細かく分析しても、それだけで、中国社会を動かしている大きなうねりの本質を見極められるとは限らない。