ジェンダーギャップを
埋めるために必要なこと
女性の就業機会はいまや無限に思える。米国の大卒就業者の約半分を女性が占め、その進出先はほぼすべての産業に及び、連邦政府が把握する300以上の職業に就いている。だが、権限あるポジションに女性が就く事例はいまなお少ない。極めて少ないと言ってもよい。フォーチュン500のうちトップが女性なのは8%にすぎず、有色人種の女性となると1%に満たない。
基本的に、このジェンダー不均衡は人材管理全般が抱える問題を反映している。大手投資銀行のある経営幹部(男性)は次のように言う。「上層部になればなるほど、女性は少なくなります。でも、大学を出たばかり、またはそれに近いレベルの若手を見ると、男女のバランスはもっと取れています。我々は有能な人材を失っているわけです。経歴を重ねるとアンバランスになるなんて、おかしな話です」
障壁を突き破ってきた女性たちは、その壁の厳しさをわかりすぎるほどわかっている。筆者らは最近、世界中のさまざまな企業の女性幹部150人以上にアンケートを実施した。そこでは、ほぼ全員が、ジェンダー差別や構造的不利益がいまだに女性の成功を妨げ、採用から定着(リテンション)までのあらゆる段階で人材管理をゆがめていると口を揃えた(囲み「働く女性が感じる障壁」を参照)。