マルチサイド・プラットフォームの
市場支配力に屈していないか
アマゾン・ドットコムやアリババグループ、アップルのアップストアなど、デジタル界の巨大なマルチサイド・プラットフォーム(MSP)が登場したおかげで、セラー(売り手)が新規顧客を見つけるのは以前よりはるかに容易になった。しかし、大企業から零細企業まで何千というセラーが学んだ通り、巨大デジタルMSP上で事業を行うには、大きなリスクとコストが伴う。
MSPが多くのセラーを引き寄せれば引き寄せるほど、セラー同士はいやおうなく激しい価格競争に巻き込まれる。時としてMSPは、セラーがMSPに依存しているという弱みにつけ込む。そのやり方は巧妙で目に見えないこともあれば、そこまで巧妙でないこともある。
たとえば、手数料を上げる。レコメンデーション・アルゴリズムを価格重視に変える。検索結果で目立ちたければ広告料を支払うよう要求する。セラーの類似商品をみずから売り出して競合相手になる。セラーが他の場所で商品を売る際の価格に制限を課す。セラーと消費者との結び付きを弱めるために、あえてプラットフォームのルールや設計を変える、などだ。