遠隔医療の実現による
多大なメリットを認識する
多くの人の認識に反して、バーチャルヘルスケア(遠隔医療としても知られる)は、対面ケアをただデジタル化しただけの、安っぽいまがい物ではけっしてない。それは適切に利用すれば、患者の健康を改善し、コストを削減する。また、医療の公平性を高め、スマートフォンを持つ多くの人(無医地域の住人を含む)が利用できる。これは米国では成人の89%、全世界でも成人の78%に相当する。
だが米国での遠隔医療の利用率は、2020年4月のピーク時から急落している。新型コロナウイルス感染症の第1波が来ていたその当時は、医師による患者診療の69%が遠隔だった。同じような傾向はこの2年間、欧州やアジアでも見られ、遠隔医療の支援策を講じる政府も出てきた。欧州議会と欧州理事会は最近、デジタルカルテや電子処方箋、遠隔医療全般の共有を促進するための「EUフォーヘルス」プログラムを発表した。サウジアラビアは、遠隔地の病院やプライマリーケア施設と専門病院とをつなぐネットワークやスマホアプリなどを含む戦略を実行している。
だが多くの国々では、規制、支払い方法、患者の承諾といった面での課題がまだ残っている。医療のクオリティやアクセス性を高め、コストを下げたいと考える国は、バーチャルケアの利用を拡大こそすれ、縮小すべきではない。