カスタマージャーニーマトリックス

 顧客が初めてのプロダクト体験に満足しても、それだけでは十分でないのは、大半のマーケティング専門家が認めるところだ。それよりも、プロダクトマネジャーは一連の魅力的な体験、つまり、カスタマージャーニーを通じて、顧客にさらにリピートし続けてもらわなければならない。カスタマージャーニーの設計が新しいマーケティングの主戦場なのである。

 ところが、マーケティングでは、そうした設計上の課題に役立つフレームワークがいまだに開発されていない。専門家はとかく、カスタマージャーニーをルーチン化し、できるだけ手間いらずで予測可能にせよと言う。筆者らの研究では、このようなアドバイスは単純すぎる。実は、その通りにすると、企業にとって逆効果になりかねない。

 ジャーニーには、楽々とこなせるものもあれば(たとえば、ネットフリックスで映画を見る、料理の出前をシームレスに注文する)、精神的、肉体的に負荷が大きいものもある(ドゥオリンゴで新しい語学を習得する、ペロトンのバイクで運動する)。顧客はどちらの体験も重要だと思っている。