文化的な違いを可視化する重要性

編集部(以下色文字):メイヤー教授はこれまで、『ハーバード・ビジネス・レビュー』(HBR)の米国本誌に数多くの論考を寄稿し、異文化コミュニケーションに関するさまざまな提言をされています。メイヤー教授にとって、HBRはどのような存在ですか。

メイヤー(以下略):HBRは、私のキャリアに大きな影響を与えてくれた存在です。初めての書籍であるThe Culture Map(邦訳『異文化理解力[注1]』)を発売した2014年頃、私はINSEADの客員教授というだけで、世界的にはまったく無名でした。そんな時、HBRの編集者がこの書籍を非常に気に入り、内容を広げた論考を書かないかと声をかけてくれたのです。それが"Navigating the Cultural Minefield[注2]"でした。

 この論文を多くの方に評価していただいたことをきっかけに、"Getting to Si, Ja, Oui, Hai, and Da[注3]"や"Being the Boss in Brussels, Boston, and Beijing[注4]"といった論考も発表できました。よくお話ししていることですが、影響力の大きいHBRの存在がなければ、私は現在のようなキャリアを築けなかったでしょう。