今日、主要なアメリカ企業は、激烈な地球的規模での競争を勝ち抜くために、生産部門でも優位を達成しようとして新たな決意をしている。彼らは、製品の質のよさを工程に対する関心の深さと在庫量の水準および労働力に対する政策の改善によって、世界的競争者となろうとしており、そういった企業戦略のうえで、生産が再び主要な要素になってきた。しかし、この生産面での組織化と技術の革新で、永続的成功をおさめるのに、大きな、えてして見落とされがちな障害がある。それは、何十年も昔に、今日とはきわめて異なる競争環境のもとで開発されたのと同じ原価計算と経営管理システムを、今も多くの企業で使っているということだ。
例えば、次に述べるような実際の企業に起こったケースを考えてほしい。
リチャード・トンプソンは、アクメ株式会社の工業製品事業部長としての2年間に、その利益が大幅に改善されたために、より高い地位に昇格した。しかし、トンプソンの後継者は、工業製品事業部の生産力が大幅に疲弊し、利益の急速な低下は免れないことを発見した。