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営業担当者シップが成熟かつ低成長産業でも2桁成長をもたらす
いまマーケティング課長と営業担当者を交えながら、会議室では重要顧客の取引について見直している最中である。各顧客企業を分析するに当たって、アカウント・エグゼクティブ(顧客担当者)はファイルを開き、大声で読み上げる。
「熱烈な共和党支持者」
「中西部特有の保守的な価値観」
「ボーイスカウトの熱心な後援者」
「大の切手収集家」
「購買の意思決定を先送りにしており、強力にフォローする必要があり」
当然のことながら、このファイルには顧客企業の市場ポジション、新しい商品群、工場建設計画に関するデータも含まれている。
この会議のかなりの部分が、顧客企業の意思決定者に関する人間的な性格や特性に焦点を当てており、いかに上手に営業担当者がこれらを理解し、創造的に営業するかに的を絞っている。変わった時間の使い方だと思われるだろうか。
多くのマーケティング関係者にとって、このような議論は正統なアプローチからやや外れているように思われるのではないか。しかし、このような情報こそ重要かつ示唆に富んだものであり、これらを無視する営業担当者は明らかに不利な立場に立たされている。
市場セグメンテーションをマーケティング戦略に活用するのはもはや当たり前であり、多くの企業がそのテクニックに精通している。おかげで、ターゲット顧客に短時間で即席の関係を結ぶことができるようになった。
しかしその一方、営業戦略に「人間性」という要素を勘案する必要性が希薄化しつつある。オンラインの受発注、数多くの原価分析や財務分析といったものが、営業担当者と顧客とのリレーションシップよりも重視されている。
我々の生業である「封筒」という商品は、一般的には魅力的なビジネスではない。事実、平凡な商品で、言わば成熟産業として教科書で定義されてもよいくらいである。これを裏返せば、市場シェアを高めるならば、まさしく差別化に長けていなければならない。
しかも封筒という商品、利便性に優れ、日進月歩を重ねている他のコミュニケーション手段、たとえば電話、コンピュータ、電子メールといったライバル商品と比べて、じり貧の状況である。我々マッケイの利益もその商品同様、何とも薄っぺらいものだ。