テクノロジーは人に寄り添うためにある
編集部(以下色文字):ロボット工学者であり、スタートアップ経営者であり、日本の大企業の役員でもある松岡さんのような方はそういません。これまでの経歴について教えてください。
松岡(以下略):私は日本で生まれ、高校生の時にプロのテニス選手になりたいと思い、カリフォルニア大学バークレー校へ進学しました。テニスに情熱をそそいでいたのですが、怪我が原因でプロ選手になる夢はかないませんでした。
数学や物理は好きだったので、それをどうテニスにつなげられるのかと考え、私と一緒にテニスのできるロボットをつくりたいと思いました。その後、大学院はマサチューセッツ工科大学(MIT)に進んでエンジニアリングを研究し、人工知能(AI)を学びロボット開発に没頭しました。しかし、テニスロボットの開発は難航しました。その頃、脳の仕組みを理解すれば、人間のような動きが可能になるとわかり、周囲の勧めもあり神経科学に転向しました。