価格設定の戦術

 大多数の自動車保険会社は1世紀近くの間、同じ方法でサービスの価格を設定してきた。どれだけ走っても、一律の年間保険料を顧客に請求するのだ。運転者の年齢、車種、運転歴、年間予想走行距離、補償内容などの要因によって金額は異なるが、年間保険料という基本的な価格設定スキームが業界標準となっていた。

 米国の保険会社オールステートでは10年ほど前、経営層が次の点について議論を始めた。誰が安全運転をしているか、また誰がどの程度運転しているか、より適切に評価できれば、価格設定の方法を改善し、その過程で新規顧客を獲得できるのではないか。慎重に検討した後、その答えは「イエス」であると同社は判断した。

 オールステートは2010年、遠隔測定技術(プラグインデバイスやスマートフォンのアプリ)を使って、急ブレーキやスピードの出しすぎなど、加入者の運転習慣をリアルタイムで監視するプログラム「ドライブワイズ」を発売した。現在、より正確なデータに基づき、それに応じて保険料を調整できるようになっている。