高齢者レクリエーションを支援するロボット

 もう一つ、大きな話題となっている社会実装例として、藤田医科大学と共同研究している「Link & Robo for ウェルネス」がある。

 高齢者施設でのレクリエーションを支援するコミュニケーションロボットサービス(※)だ。

 ロボットが体操やクイズ、おしゃべりなどを行い、施設スタッフのレクリエーション運営の手伝いをする(写真参照)。開発・販売を担当している三菱総研DCSデジタル企画推進部ビジネス推進グループ担当部長の西岡裕子氏は、ロボットのキャラクター設定を特徴の一つに挙げる。

三菱総研DCS
テクノロジー事業本部
デジタル企画推進部
ビジネス推進グループ
担当部長
西岡裕子
YUKO NISHIOKA

「多くの専門家と検討を重ね、高齢者にお世話をしたいと思ってもらえるように、小学生の孫をイメージしてつくりました。話し方も『ボクはこれできないけど、皆さんはもっとうまくできると思うよ』『ボクは知らなかったけど、〇〇さんから教えていただきました』など、手を差し伸べたくなるような工夫をしています。このロボットを導入することで、利用者の満足度とQOLの向上や自立支援、利用者間のコミュニケーションの増加などが期待できます」

「小学校の頃の思い出」などテーマごとにプログラムされた対話シナリオによってロボットと会話することも可能だ。顔写真を登録すると、ロボットが利用者を識別し、一人ひとりの会話記録を音声と文字で保存できるため、日々のケアにおいても有用なデータとなる。「実証実験でも、利用者の発言増加や活動量のアップ、男性の参加率向上、スタッフの業務負荷の軽減などの効果があることがわかりました。施設スタッフから『あんな笑顔は久しぶりに見ました』といった声も上がっていますが、こうした数値に表れない効果の実証が課題の一つと考えています」と西岡氏は抱負を語る。

ロボットを用いた体操の例。

 今後は、他のベンダーとの協業をはじめ、三菱総研との連携などにより、具体的な普及促進にも力を入れていくという。

 ここまで三菱総研のヘルスケア分野におけるVCPの取り組みを紹介してきたが、次期中経では「未来社会実装企業グループの実現を目指す」(籔田社長)と、社会課題解決力をさらに高めていく方針だ。

※三菱総研DCSでは、Aldebaranの小型二足歩行ロボット「NAO」を活用し、独自のサービスを提供をしている

【参考情報】
■健康経営アライアンス
■Link & Robo forウェルネス
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