サムズクラブはこう変わった

 サムズクラブは、米国とプエルトリコに600店舗を展開する、ウォルマート傘下の会員制倉庫型小売業者である。2019年6月、同チェーンは店舗の業務運営モデルの主要側面のほぼすべてを変革する取り組みを始めた。価格を大幅に引き下げ、SKU(最小在庫管理単位)の数を減らした。また、さまざまなデジタル技術を導入し、職務を再設計し、従業員(同社では「アソシエイト」と呼ぶ)の平均賃金を31%(会計年度比)引き上げた。

 それ以来、サムズクラブの純売上高(会費を除く)は43%増加した。パンデミックによる在庫問題やインフレの長期化にもかかわらず、既存店舗の売上高は12四半期連続で2桁の伸びを記録している。アソシエイトの離職率(サムズクラブの他の店舗やウォルマートの店舗に異動する者を除く)は、導入後1年で大幅に減少した。また、「友人に職場として薦めたいか」という質問に肯定的に答えたアソシエイトの割合は、440%も急増した。

 サムズクラブの最高プロダクト責任者であり、以前は業務変革担当バイスプレジデントを務めていたティム・シモンズは、『ハーバード・ビジネス・レビュー』(HBR)シニアエディター、スティーブン・プロケッシュとのこのインタビューで、自社の大改革から得た学びについて自身の見解を語ってくれた。