サービス業界に蔓延する「バッドジョブ」の悪循環
小売業界をはじめ、利益率の低いサービス業界で他社と競い合うには、フロントラインで働く従業員の業務に「バッドジョブ」(悪い仕事)を採用するしかない、というのが通説になっている。すなわち、賃金を低く抑え、予測しにくい勤務スケジュールを組み、昇進機会のほとんどない仕事だ。
だが、米国のコストコやクイックトリップ、スペインのメルカドーナなどの一握りの企業は数十年にわたって、それは間違いだと証明している。サービス業界はバッドジョブで成り立っているといわれているにもかかわらず、これらの企業はそうした手段に頼らず、競争が著しく激しい業界でマーケットリーダーの座を維持しているのだ。
こうした企業が成功している理由は、広く知られている。「グッドジョブ」(よい仕事)をシステムとして採用しているのだ。一方、バッドジョブをシステムとして採用している企業は、労働市場が逼迫する中で、営業を維持することが難しくなっている。人材を惹きつけ、つなぎ留めることができないからだ。