【パネリスト】
エリック・ロイター(Eric Roiter)
フィディリティ・マネジメント・アンド・リサーチ・カンパニー 副社長兼法務顧問
ピーター・クラップマン(Peter Clapman)TIAA-CREF シニア・バイス・プレジデント兼首席投資顧問
ジェイミー・ハード(Jamie Heard)インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ CEO
ジョー・バケルダー(Joe Bachelder)バケルダー法律事務所 シニア・パートナー
ジョン・イングランド(John England)タワーズ・ペリン プリンシパル
グレッグ・ロー(Greg Lau)ゼネラルモーターズ グローバル報酬・コーポレート・ガバナンス担当取締役
エドガー S. ウーラード, Jr.(Edgar S. Woolard, Jr.)元デュポン CEO
パール・メイヤー(Pearl Meyer)パール・メイヤー・アンド・パートナーズ 社長
ブライアン・ホール(Brian Hall)ハーバード・ビジネススクール 助教授
ハンク・バーネット(Hank Barnette)ベスレヘム・スティール 名誉会長
ウォーレン・バッツ(Warren Batts)全米取締役協会 理事
E. ノーマン・ビーシー(E.Norman Veasey)デラウェア州最高裁判所 長官

【司会】
チャールズ・エルソン(Charles Elson)
デラウェア州立大学 エドガー S. ウーラード, Jr. 記念講座 教授、同大学コーポレート・ガバナンス・センター 所長

宴の後に浮かび上がる経営者報酬の綻び

 企業再建屋として名高いアルバート・ダンラップは、その成功の絶頂にあった時、自著Mean Businessのなかで次のように記している。

「報酬の高いCEOこそ、最高の掘り出し物だ。優秀なCEOの報酬は、どれだけ高くとも高すぎることはない。逆に、無能なCEOならいくら安くても安すぎるということはない。お買い得のCEOとは、株主価値を創出しているという理由だけで信じられないほどの高給を取っている人だ。株主利益と連動しないCEOの報酬なんて、まったくもってばかげている」

 これは1990年代後半の経営者報酬に大きな影響を与えた考え方である。しかし、ドットコム企業の凋落、ITバブルの崩壊、会計スキャンダルなどが相次ぎ、サンビームで断行された「チェーンソー・アル[注1]」のような理屈はもはや通用しなくなった。

 実際、超高給取りのスーパースターCEOが創出したといわれる企業価値はいまや雲散霧消し、近い将来に回復する見込みも薄い。しかも、多くの企業が公表してきた利益自体が、価値を獲得・創出すべきであるCEOの長期戦略の結果ではなく、実は監査法人がひねり出した数字の魔術だったというあり様である。