多様な価値にあふれる社会への動きを加速させる
AIがもたらすインパクトを、さまざまな角度から牧野氏と竹村氏に語ってもらった。最後に、AIによって企業における意思決定の優先順位がどう変わるのか、そうした中でリーダーに問われるものは何かを聞いた。
竹村 先ほども述べましたが、テクノロジーの民主化、それに伴うデータの民主化という大きな時代の流れがあり、AIの登場によってさまざまな活動のスピードがさらに上がっていくと思います。
その大きな流れを踏まえたうえで、リソースの配分をどう変えるか。その意思決定がすごく重要になります。たとえば、米国などでインハウス(社内)のエンジニアチームを増やしてきたのは、テクノロジーの民主化によって、そうしたほうが圧倒的に経営のスピードを上げられるようになったからです。
IT・デジタル人材が不足している日本で、インハウスのエンジニアをすぐに増やすのは難しいかもしれませんが、これまでのようにシステムやアプリケーションの開発をITベンダーに依存しすぎていては、時代のスピードに追随できません。
民主化されたテクノロジーを活用したり、ともに価値を創造できるパートナーと組んだりすることで、足りないリソースを補うことが必要だと思います。私たち自身もまだ社員300人ほどの会社なので、クライアントやパートナーとの価値共創にいっそう注力していく考えです。
牧野 同じ価値観を持つ者同士で協働したほうが、価値創造のスピードは圧倒的に速まります。ですから、どういう価値観を持ってビジネスをしているのかが、すごく問われます。
どんな企業も、創業メンバーでビジネスを始めた当時は、「こういう価値を提供したい」ということが明確だったはずです。ただ、事業を継続させるために効率を上げるとか、どう生き残るかといった部分にエネルギーとリソースを投じざるをえない面があるのも事実だと思います。
これからは、効率化の部分はテクノロジーが補ってくれるようになるので、提供価値の競争が本格化すると思います。それに備えて、価値観を共有できる人が集まる構造をどうつくるか。集まった人たちと、本当にやりたいことを真剣に議論できる環境をつくることができるかどうか。それがリーダーの最も重要な役割の一つといえると思います。
竹村 私たちプレイドは、「データによって人の価値を最大化する」というミッションを掲げています。それは、AIの時代になっても変わりません。これからも、人の可能性を広げるようなプロダクトをつくり、クライアントやパートナーの力を借りながら、社会に対して大きなインパクトを出していきたいと考えています。
牧野 AIが進化した先には、一部の巨大企業や国家がデータを独占する時代が来ると予想する向きもあります。しかし、これまで何度も述べてきたように、新しいテクノロジーをうまく使えば、人が価値創造にフォーカスでき、多様な価値にあふれる社会になりえると私たちは信じています。そういう多様性豊かな社会への動きを加速させるような活動を、私たちプレイドは続けていきたいと思っています。
*本稿の前編は、こちら
株式会社プレイド
〒104-0061 東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX 10F
https://plaid.co.jp
https://karte.io