サマリー：企業が一貫した成長を遂げることは難しく、不確実性が極めて高い状況ではなおさらだ。革新的な製品・サービスの開発が一時的な成長をもたらすことはあっても、持続的な成長につながることはほとんどない。筆者らが20... もっと見る00社以上の米国企業を調査したところ、短期と長期の成長を両立できている企業は、目先の収益を上げるための施策に注力するのではなく、高収益を上げ続けるための仕組みの構築を重視していることが判明した。本稿では、そのような「成長システム」を構成する5つの要素について、先進企業の事例を交えながら紹介する。 閉じる
持続的成長の実現は、企業が実行できることの中で最も難しい取り組みの一つである。
とりわけ、私たちが2020年代に経験した混乱と不確実性を伴う経済状況の中では、素晴らしいアイデアや製品イノベーションによって一時の爆発的な成長を生み出すことはできても、毎年のように成長を示し続ける企業はほとんどない。しかし一部の企業は、翌四半期の収益源を正確に把握するという困難な目標を達成しながら、持続的成長を実現するという難問の解決に成功している。
筆者らは、企業が一貫した成長を遂げた場合に生み出しうる価値について、より深く理解するために、PwC米国の同僚ブレット・デイビッドソンとともに、年間収益が2億ドルを超える米国の公開会社2142社を対象に研究を行った。
成長を止めないために投資すべき3つの組織能力
過去30年間にわたって、マクロの経済情勢は驚くほど安定していた。しかし、いまや新たな時代に突入している。それは不確実性の高い激動の時代である。多くのビジネスリーダーは、従来通りの戦略策定をしていてはこの... もっと見る時代のディスラプション（破壊的変化）に対応できないことを理解している。では、リーダーがこの不透明な情勢下で経営の舵を取り、持続的な成長を実現し続けるにはどうしたらよいだろうか。適切な戦略策定には、広い視野を持ち、予測、適応、そしてレジリエンスの能力を組み合わせることが肝要となる。本稿では、この3つの能力の重要性を解説したうえで、これらに企業リソースを最適に配分するためのガイダンスを提供する。 閉じる
