自身のブランドを持ち始めたセレブリティたち

 ライアン・レイノルズとジョージ・クルーニーは、近年ではそれぞれ自分の酒ブランドであるアビエイション・アメリカン・ジンとカーサミーゴス(テキーラのブランド)から、映画の仕事を超える収入を得ている。セリーナ・ウィリアムズとマリア・シャラポワは、競技引退後はアパレルブランドのエス・バイ・セリーナ、スキンケアブランドのスーパーグープの販売を通して相当の収益を上げている。リアーナとドクター・ドレーはそれぞれ、自身の化粧品・ランジェリーブランド、ヘッドフォンブランドで数百万ドルを稼いでいる。

 セレブリティたちによる既存ブランドの推奨(エンドースメント)は何十年も前からマーケティング戦略に取り入れられてきた。しかしセレブリティがソーシャルメディアで膨大な支持者を集め、強力なインフルエンサーとなったいま、多くのスターたちが方針を転換しつつある。他社のために商品を宣伝したりインフルエンサーとして貢献したりする代わりに、自分の名声を活かして利益を得るべく、自身のブランドを立ち上げているのである。

 しかしモンスター級のセレブリティブランドが生まれる一方で、はるかに多くのブランドが──大物スターが手掛けたものも含めて──大失敗に終わっている。こうしたブランドを立ち上げて成功させるためには、潜在的な戦略優位性を見出し、それを競争優位性へと転換し、自身が名声を得てきた分野とは大きく異なる分野で専門知識を磨かなければならない。