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人間は本当に利己的なのか
1976年、進化生物学者のリチャード・ドーキンスは『利己的な遺伝子[注1]』のなかで、このように記している。「私と同様に、個人個人が共通の利益に向かって非利己的に協力し合うような社会を築きたいと考えるのであれば、生物学的本性はほとんど頼りにならぬということを警告しておこう。われわれが利己的に生まれついている以上、われわれは寛大さと利他主義を教えることを試みてみようではないか」
しかしこの流れは、2006年になるまでには変わり始めた。ハーバード大学の数理生物学者マーティン・ノヴァクは『サイエンス』誌で「協力の進化[注2]」について概観し、次のように述べている。
「おそらく進化の最も注目すべき側面とは、競争社会で協力を生み出す能力である。したがって『突然変異』『自然選択』に次ぐ進化の第3の基本原則として『自然協力』を加えてよいのではないか」