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意思決定は一瞬のひらめきではなくプロセスである
リーダーに何よりも求められるのは、優れた判断を下すことである。十分な情報に基づいて賢明な選択を下し、望みどおりの結果を生み出すのだ。
折々に優れた判断さえ示していれば、リーダーとして合格といえよう。逆に判断が的外れでは、リーダー失格の烙印を押されてもしかたない。もちろん人間である以上、百発百中は不可能だ。とはいえ、卓越したリーダーは、「ここぞ」という場面では、高い確率で判断を的中させる。
だれしもみな、生きていくなかで無数の判断を下している。どのシリアルを購入するかといったささいなものもあれば、だれと結婚するかという人生を左右する判断もある。実り多き人生を送れるかどうかは、判断力次第であるといっても過言ではない。
ましてリーダーともなれば、その判断には途方もなく大きなインパクトが生じる。自分だけでなく、多くの人々の人生や収入に影響を及ぼす。結局のところ、組織の命運を握っているのはリーダーの判断にほかならない。リーダー自身のキャリアひいては人生も、いくつもの判断の積み重ねによって決まる。
ところが、判断というのは実にあいまいな概念である。リーダーシップ関連の文献はことごとく、このテーマに対峙するのを避けてきた。おそらく、何が優れた判断なのかを突き止めるのが難しいからだろう。
では、優れた判断とは、結局のところ何だろうか。常識や直感とは異なるのだろうか。幸運あるいは知性の賜物なのだろうか。
我々はこの答えを探り出すために、2人合わせて100年を超える経験のなかで見聞きしてきた、数え切れないほどの判断を振り返ってみた。くわえて、あらためて調査やインタビューを実施したほか、ざっくばらんな会話のなかからも、いくつものエピソードを引き出した。
調査を始めて、さっそく注目すべき発見があった。リーダーの下す重要な判断はたいてい、「人材」「戦略」「危機」のうちのいずれかをテーマとしていることがわかったのである。人材についてそつのない判断を下し、適材をチームに加えたり、判断力に優れた有望株を発掘して鍛えたりすることは、リーダーにとって必須の仕事である。