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非効率に見えるリーダー行動の真実
あなたは、とある大企業のエグゼクティブ・バイス・プレジデントで、国内外の市場で激しい攻勢に遭っているとしよう。そしてこの1年ほど、製品ラインの点検に取り組んできた。今日は一日をかけて、その検討結果についてタスク・フォースから報告を受けることになっている。
プレゼンテーションが始まって20分ほど経ち、タスク・フォースが進めようとしている製品ラインはまったく柔軟性に欠けるものだとわかった。要するに、どれか製品が当たるまで、相当の努力が要求される危なっかしいアイデアに、数百万ドルを投資しようというのだ。
今日の地元紙は製品の安全性について書き立てており、午前9時35分、あなたはこの記事を読んだ副会長から呼ばれ、いったん会議を抜けることになった。
会議に戻ったのは11時5分だが、11時40分に再び社長から呼び出された。彼は、社外取締役とのランチ・ミーティングに先立って、次年度の投資額について確認しておきたかったのである。
結局、会議には12時35分に戻れたが、2時15分、大口顧客の一社が突然訪ねてきて、ある事業部門に2000万ドル投資したいという。結局、当初の議題に割く予定だった6時間は、3時間以下になってしまった。
このような状況について、2種類の経営学者はこう非難することだろう。まず意思決定理論の提唱者たちは、戦略の代替案を用意しなかった点を批判するだろう。またタイム・マネジメントの専門家は、このような重要な問題を議論するのに、なぜオフサイト・ミーティング(社外で缶詰になって議論する会議)にしなかったのか、そうすれば6時間丸ごと使えたはずであると、苦言を呈するに違いない。
このような批判があるにしても、別の見方をすれば、現実のトップ・マネジメントには必ずしも珍しいことではなく、逆に当たり前のことである。
トップ・マネジメントは長年の経験を通じて、このような状況、すなわちいろいろな仕事が重複し、たえずじゃまが入るのはしかたがないことだと承知している。とはいえ、トップ・マネジメントの日常について理論的に実証されたのは、つい最近のことである。