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リーダー人材を大量生産する「人材工場」を構築せよ
人材開発の重要性は言うまでもなく、人事制度やその関連業務に膨大な資金が注ぎ込まれている。にもかかわらず、依然、主要ポストを任せるべき人材の確保に四苦八苦している企業が驚くほど多い。そのような企業では、将来このようなリーダー人材の不足が成長の重い足かせになりかねない。
2005年、我々は世界各国から40社を選び、人事担当役員を対象に調査を実施した。すると、ほぼ全員が「戦略上重要なマネジメント業務を担うべき、潜在能力が高い社員の育成体制が不十分である」と指摘した。
問題は、次のようなところにある。「次世代のリーダーを選抜し育成する公式手順がある」という回答者が97%だった。すなわち、「タレント・マネジメント」(次世代リーダーの選抜・育成・管理)がすでに導入されているのである。
どうやらその具体的な仕組みが、企業の成長や新興市場への参入に必要な条件とミスマッチし始めているらしい。
たとえば、コスト削減を図り、小国のカントリー・マネジャー職を廃止した企業が一部に見受けられる。しかしこの役職は、潜在能力が高い社員にさまざまな問題を経験させる場をもたらすものであり、このような能力開発のチャンスがなくなると、その影響はコスト削減額を上回りかねない。
また、タレント・マネジメントの仕組みも充実しており、そのためのコンピュータ・システムも最新鋭のものだったとしても、経営陣が本気で意欲を示さない限り、どのようなタレント・マネジメントも失敗に終わる。
我々の調査に協力してくれた人事の専門家たちの過半数が、経営陣の関心を人材問題に向けさせることに苦労していた。ライン・マネジャーに聞けば、「最高の人材を採用し、長く働いてもらうことは重要課題である」ときっぱり断言するかもしれないが、だからといって、その言葉どおりに行動するとは限らない。
経営陣のなかには、高給で釣るか、一流のヘッドハンターを雇えば、優秀な人材が見つかるといまだに信じている人がいる。また、別の重要案件を目の前にすると、すっかり忘れてしまう人もいる。