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AIと人間が協働する新たな時代
生成AIは今後数年間で、あらゆる種類の仕事を根本から変えると考えられている。もはやAIは、科学技術の専門職だけのものではなく、コードの代わりに自然言語で指示を出すことで、ほぼ誰もが利用できるようになった。
筆者らの調査によれば、生成AIは事業運営に必要なほとんどの分野、そして米国のあらゆる業務活動の40%以上を補完、自動化、あるいは再構築できる。この変化により最も大きな影響を受けるのは法律、銀行、保険、資本市場セクターであり、小売り、旅行、医療、エネルギーセクターがこれに続くと見られる。
企業やそこで働く従業員にとって、この迫り来る変化は重大な意味を持つ。今後、仕事で成功できるかどうかは、チャットGPTのような大規模言語モデル(LLM)から最大限のアウトプットを引き出せるかどうか、そしてそれらとともに学習し、成長できるかどうかにかかっていることに、私たちの多くは気づくだろう。
AIと人間が協働するこの新しい時代を勝ち抜くには、筆者らが「融合力(フュージョンスキル)」と名づけたスキル、すなわち「賢い質問」「判断の統合」「相互学習」という3つのスキルのうち、少なくとも1つは身につける必要がある。
賢い質問とは、目に見えて優れた推論と結果を引き出すことができるプロンプト(一般的な言葉では「指示」)をLLMに与えることである。簡単に言えば、AIとともに考えるスキルだ。
このスキルは、たとえば金融サービス会社のカスタマーサービス担当者ならば、顧客からのややこしい問い合わせへの答えを探す際に、製薬の研究者ならば、薬剤化合物や分子の相互作用を調べる際に、マーケティング担当者ならば、最適な小売価格を見出すためのデータマイニングに役立てることができる。
判断の統合とは、生成AIモデルが何をすべきかわかりかねている時、あるいは推論に必要なビジネスや倫理上の背景情報が不足している時に人間の見識を持ち込むことである。人間と機械の対話によってもたらされる成果の信頼度を高めるのが狙いだ。判断の統合には、どこで、いつ、どのように介入すべきかを理解することが必要であり、その有効性はAIが出すアウトプットの信頼性、正確性、説明可能性によって測定される。