営業の難易度は年々上昇している

 過去12年間、我々は営業活動の統括責任者であるCSO(最高営業責任者)に毎年アンケート調査を実施してきた。この調査の目的は、営業組織が直面している問題とその経年変化を把握することである。

 2006年に実施した調査では、1275件の回答が得られ、ここ数年間の傾向により拍車がかかっていることが示された。さまざまな業界において、営業活動を取り巻く状況も顧客の購買行動も変化しており、その結果、営業組織に求められる仕事はますます難しくなっている。

 まず、「製品ラインの拡充」「製品の多様化」「新規市場への参入」について見てみよう。これらについて、85%の企業が「難しさが増している」と答えている。実際、営業組織にさまざまな影響を及ぼしている。

 たとえば、新たに採用した営業担当者が一人で営業できるまでの時間が伸びている。62%の企業が「7カ月以上かかる」と回答している。この数値は過去4年間、右肩上がりに伸びており、2005年から2006年にかけては急上昇している。

 営業担当者の業務量もかなり増えている。世界主要国で経済が再び活気づいているため、容易に予想されたこととはいえ、この成長率には驚きを禁じえない。2005年から2006年にかけて平均20%近く増加しているのである。

 その一方、営業活動を実際の売上げへと結実させるための支援活動は減少している。何しろ、営業アシスタント1人当たりの営業担当者数も、営業マネジャー1人当たりの営業担当者数も増加しているのだ。

 ともあれ、これほど要求水準が上がっているにもかかわらず、ノルマ達成率はそれほど悪くない。2005年は58%の営業担当者がノルマを達成し、2006年には59%だった。しかし、さまざまな指標から検討すると、営業担当者の労働生産性が向上したのは、単に一生懸命働いた結果のようだ。

 たとえば過去数年間で、見込み客へのアプローチが面談に結びついた比率、初回の面談が正式な提案に進んだ比率、そして提案が成約につながった比率は、いずれも低下している。2005年だけでも、これらの指標は5~8%減少しており、生産性に関しては大きく後退した(図1「働けど働けど──」を参照)。