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90%のミドル・マネジャーが自己管理できていない
仕事の足を引っ張っているのは何かと問われて、ほとんどのマネジャーが、耳慣れた紋切り型の不満を繰り返す。すなわち「時間が足りない」「人や資源が不足している」「チャンスがない」等々──。しかし、調べてみると、これらはほとんど言い訳にすぎない。
本当は、もっと個人的な問題、つまりみずから判断し、これに従って行動することへの根深い不安が邪魔しているのだ。それゆえ、自社の成功、そして自分のキャリアを推し進めるうえで必要なことには尻込みし、他人が自分に期待していると思い込んだことに時間を浪費している。
我々は過去5年間、国際的な航空会社やアメリカの石油会社をはじめ、さまざまな企業の何百人ものマネジャーたちについて、その日常業務に従事する様子を観察してきた。
2002年、HBRに寄稿された「マネジャーが陥る多忙の罠」という論文[注1]で紹介されたように、調査対象となったマネジャーの優に90%が、具体的な優先順位と目標を持ち、そのための仕事を遂行するだけの知識もあるにもかかわらず、いたずらに時間を浪費し、自分の生産性を無益に低下させていた。
みな「そもそも自分には裁量権や実権などない」と頭から決めてかかっている。それゆえに効率が低い。しかし、みずから考えて行動する能力は、成功を収めるマネジャーの最も重要な資質なのだが──。
ほとんどの場合、マネジャーたちがどうしてもやらなければならないと考える仕事は、実のところ、やってもやらなくてもよい任意の仕事であった。我々は本調査の過程において、何とも不思議な会社生活の実態に再三再四遭遇した。ほとんどのマネジャーが自由に振る舞える余地がないとこぼす一方、彼らの上司は部下であるこれらマネジャーたちがチャンスをつかもうとしないと嘆いていたのだ。
これは、ほとんどの組織であまねく広く見られる現象である。我々が観察したマネジャーのうち、まがうかたなく有能なマネジャーは、はっきりとした目的を掲げ、自分の判断を信じ、組織目標と合致した個人目標を実現すべく、長期的で大局的な視点を持ち合わせていた。