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目を向けるべきは「なぜ辞めるのか」よりも「なぜとどまるのか」
社員定着率の悪化が経営課題の一つになって久しい。それゆえ、とかく「なぜ辞めてしまうのか」ということばかりが問題視されやすい。しかし、社員の意欲をかき立てることを考えるうえでは、むしろ「なぜ辞めないのか」も等しく重要ではないだろうか。
とにかく「ほかに何もすることがないので辞めない」という人々が存在していることは事実であり、またそのような輩はたいしたやる気も持ち合わせていない。一方、やる気満々の人々は「ぬるま湯体質である」と見限って、さっさと辞めてしまう。
そこで我々は、なぜ社員が辞めないのか、翻って、やる気を起こさせる要因、辞める気を起こさせない要因、そのための労働環境について調査した結果を紹介したい。
仕事の満足度と、福利厚生などの諸制度や労働環境の整備状況は、ある程度相関していることが改めて明らかになった。また、疑問が晴れた面もあれば、それだけにとどまらず、社員の定着や転職対策に頭を悩まし、その解決策を探している企業の一助となる考え方も導かれた。
社員が転職する原因を調査するため、たとえば退職者と面接するなど、多大な時間と金を費やしている企業が多い。この手の調査は、通常「なぜ辞めるのか」を明らかにするために実施される。つまり、退職する理由をつかめれば、社員をつなぎ止め、転職を未然に防止できるはずだと考えているからにほかならない。
しかし、退職者に面接して、いかに貴重な情報をつかめたにせよ、このようなアプローチには、間違いなく次のような2つの欠陥がある。
〔誤解1〕退職する理由にしか焦点を当てていない
社員を引き止めたいのであれば、退職しないでとどまり続けている人の理由についても調べたうえで、その対策を講じるべきである。