-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
-
PDFをダウンロード
やる気は次第に失われ高原状態に至る
進歩が見られないからといって、即引退と考えるべきではない。アメリカの大企業は終身雇用制ではないが、そこで働くマネジャーのほとんどが一社のみに勤続してビジネスマンとしての生涯を終える。さらにその多くが、最後の10年ないし20年間を、さしたる成長がないままに過ごす。
このような高原状態が一般的なミドル・マネジャーとはいえ、依然生産的である人も少なからず存在している。しかし、その一方でとても生産的とはいえない人々も存在しているのが現実である。次の対照的な例について考えてみよう。
ラルフ・フランクリンは53歳。最近、仕事に嫌気が差している。彼は、他の営業部門の同僚たちと一緒に金曜日のランチを共にするのを、毎週の最大の楽しみにしている。ところが、その昼食会が大酒を飲む機会になったことを心配していた。それは彼自身の健康にもよくないばかりか、また保険会社のバイス・プレジデントという彼の評判にも差し障りがある。
いや、会社のことを思い煩う必要などどこにあろう。彼は25年勤続の表彰ピンをもらったばかりで、営業の地区担当バイス・プレジデントという立派な肩書きもある。
しかし、彼が解決できる業務上の問題は多岐にわたるが、だれも彼に意見やアイデアを求めたりしない。彼は決められた仕事に勤しんでいればよく、彼の助言を期待している人などどこにもいないのだった。
ハロルド・ワイマンは、某投資会社のバイス・プレジデント兼地区担当営業部長を11年間務めてきた。51歳の彼は、15人のセールスマンの指導と監督に日々携わっている。彼は同部門の経営の一翼を担っているという自負を持っており、事実、短期・長期の事業目標を設定するパートナーと話し合うこともしばしばである。
また彼は、他の営業部長と一緒に新人セールスマンの募集・採用・教育も担当している。優秀な若人たちと接触し、その情熱の高まりを傍で見守るのは彼の楽しみの一つだ。