インターネット戦略イコールウェブ構築ではない

 辛いことだが、とうとうこの事実を認めざるをえない時がやってきた。インターネットは、ほとんどの企業にとって期待外れだったと──。

 アメリカ産業界でもウェブサイトの構築がいまだ最優先課題であることは間違いない。1999年にアメリカ大企業がサイト開発に投じた100億ドルという金額が余すところなく物語っている。

 ところが、アメリカ最大手企業の消費者向けウェブサイトのうち、ひと月に40万人以上が訪れるものはわずか半数しかない。また、同じく半数のウェブサイトでは売上げはゼロである。

 経済的な見返りは少なく、戦略上の成果となればさらに乏しい。こうした企業サイトのうち、顧客自らが提供したデータを入手できているのは半数以下である。

 どうにかして何らかの情報を手に入れた少数のウェブサイトでも、その内容となるとお粗末極まりない。我々の推定では、有意義な顧客プロファイルは、顧客総数の1%にも満たないだろう。

 また、「ウェブサイトは、低コストで顧客を獲得できるチャネルである」と断言する声は多いが、それが実現されているケースは、実際は稀である。

 ウェブサイトを使ったマーケティングでは、バナー広告などで「自社のウェブサイトに消費者を連れてくる」というのが標準的なアプローチである。しかし、このアプローチを採用している企業のほとんどは、顧客獲得コストは従来型の広告宣伝より高くつく──しばしば1.5~2.5倍にもなることにたちまち気づくだろう。

 ほとんどの企業サイトがマネジャーの高い期待に応えられていない。なぜなら、それは根本的にミスマッチだからだ。

 eコマース(電子商取引)で支配的なビジネスモデルは「デスティネーション・サイト」(検索などを中心とした、インターネットの入り口であるポータル・サイトに対して、検索の結果到達した最終目的地のウェブサイトを指す)を軸にしたものだが、これはほとんどの企業や顧客ニーズに合致していない。

 顧客がリピート・ビジット(繰り返しウェブサイトに訪れること)のたびに、顧客プロファイルにさらに多くの情報を追加してくれるようでなければ、デスティネーション・サイトは経済的な意味を持ちえない。