- 
Xでシェア
- 
Facebookでシェア
- 
LINEでシェア
- 
LinkedInでシェア
- 
記事をクリップ
- 
記事を印刷
- 
PDFをダウンロード
世はポストモダン時代
かつて可能と考えられていた以上に接近して消費者に近づくために、ハイテク、消費財、自動車、家電製品、医薬品、衣料品、食品、グリーティング・カード類、メディア、保険、広告といった産業分野で企業に雇われた文化人類学者たちが活躍する素晴らしい新市場を想像してほしい。
ユング派の元型論から洞察を得た革命的なデザインの自動車を想像してほしい。
あるエンジニアが、ナス・カー(NASCAR:全米自動車競争協会)のピット・クルーを観察し、ここにヒントを得、穀物産業の生産プロセスを合理化させた様を想像してほしい。
経営戦略が「物語」(storytelling)に代替されることを想像してほしい。
リテール・シアター(マーチャンダイジングや商品情報の提供などに劇場的演出が凝らされた売り場)で感動的な演出を行い、店が消費者に提供する経験を、店が販売するいかなる商品よりも重要なものにするフラッグシップ・ブランド・ストアの隆盛を想像していただきたい。
まだ利益を生み出すに至っていないベンダーがひしめくバーチャル市場の驚異的成長を想像願いたい。
このような世界がいまや現実のものとなっている。「ポストモダン・マーケティング」の時代へようこそ。
消費者の経験価値をデザインする
我々は無意識のうちに「経験経済」に生きており、何らかのかたちでマーケティングが介在する世界にどっぷり浸かっている。この事実はもはや明白である。
グローバル経済では、提供する財やサービスにある水準以上の価値──いわばゲームの出場料のようなものだ──がなければお話にならない。それゆえ、あらゆる業界では、マーケターたちは次なる競争優位を求め、消費者の経験を理解し、それをいかにデザインするかに腐心している。
消費者の経験の内容を把握し、意図的につくり出そうとするマーケティング的な試みは、ポストモダン時代にあって劇的な変貌を遂げつつある。
 
    


