オンライン販売の収益を蝕む「代替品対応」
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サマリー:オンライン販売の収益性を静かに蝕んでいる大きな要因の一つが、代替品対応である。これは、取り戻す利幅の3倍近いコストを生んでおり、その影響は無視できない。本稿では、小売企業が代替品対応を最適化するための3つの打ち手を取り上げ、代替品対応をコスト要因から競争力へと転換する道筋を示す。

オンライン販売はどこにコストがかかっているか

「ラズベリーを注文したのに、届いたのはカリフラワーでした」。これは、オンライン注文サービスのインスタカートを使用してウォルマートから食料品を購入した、あるカリフォルニア州の買い物客の体験談だ。筆者らのフィールドワークでも似たようなトラブルが明らかになった。こうした代替品のミスマッチは、より深い問題を象徴している。それは収益性を静かに蝕み、顧客の信頼を損ない、小売企業におけるオンライン注文の成長を妨げている。

 eコマースの成長に伴い、既存の店舗とスタッフを活用してオンライン注文のピッキングを行う、実店舗拠点型フルフィルメントのモデルを導入する小売企業が増えている。筆者らは最近、ECRリテール・ロス・コミュニティと提携して調査を実施した。

 回答のあった年間収益1兆ドル以上のグローバル小売企業25社のうち、61%が現在、物理的な小売店舗でオンライン注文のピッキングを行っており、そうした店舗ではオンラインの売上高が全体のおよそ15%を占めている。オンライン注文のピッキングを実店舗で行えば、専用のフルフィルメントセンターやダークストア(一般客には公開されず、オンライン注文処理に特化した小売拠点)にかかる高額な固定費を回避できる。ただし、このモデルには重大なトレードオフがある。特に代替品対応では、それが顕著だ。

 集約型の倉庫やダークストアで注文を処理する小売業者は、即時に出荷できるよう在庫を厳格に調整していて、フルフィルメントのプロセスも正確だ。一方、実店舗でのピッキングでは重大なタイムラグが生じる。店舗従業員によるピッキングが、顧客の注文・会計から数時間後に開始されることもある。すると作業開始までに、棚の在庫状況が変わっている可能性がある。ウェブサイトでは「在庫あり」と表示されていた商品が、売れてしまった、本来あるべき場所にない、あるいはもとから存在しなかったという理由で、在庫がなくなっていることがある。そうなると、ピッキング担当者は選択を迫られる。他の商品で代替するか、顧客に連絡を取るか、その商品を完全に省いてしまうか。どの選択肢も理想的とはいえない。それぞれコストや遅延、顧客の満足を損なうリスクが伴う。

 筆者らのフィールドワークや小売企業のオペレーションリーダーとの会話からも、代替品対応はもはや小さないら立ちの種ではなく、大きな問題点であることが明らかになった。あるeコマース担当バイスプレジデントは、こう述べている。「代替品対応が利幅を致命的に損なっています。返品や配送費用と並ぶ痛手です」

 筆者らの調査もこの発言を裏づけている。小売企業は注文された商品をピッキングできなければ、その商品の利幅を失う。一方、その利幅を取り戻すために、店舗のピッキング担当者は望ましい代替品をバックルームかどこかで探し、余分な時間を費やす。望まれない代替品を配送して、後から高額な返金処理コストが発生するのを避けるため、顧客に直接連絡を取り、最適な代替品を確認することもある。その結果、さらに時間がかかる。

 また、小売企業がより高額の代替品を追加料金なしで提供する場合、さらに利幅を失う。筆者らの調査によると、小売企業は、労働コストと利幅の損失によって、1ドルの利益を取り戻すのに平均2.66ドルを負担している。総計すると、こうした代替品対応の隠れたコストは、オンラインの年間売上高の2%近くを占める。ただでさえ利益率が非常に低い販売チャネルにおいて、収益性を悪化させる大きな要因となっているのだ。こうした状況を受けて、小売企業の経営幹部が、これをどうにかできないかと筆者らに相談にくるのも無理はない。

 過去数年間、筆者らはこの問題を研究するために、3つの大陸の大手小売企業と協力して、グローバルな調査、現場視察、詳細なインタビューを実施し、欧州のオンラインプラットフォームとの大規模なフィールド実験も行ってきた。そこで学んだのは、代替品対応は避けられないかもしれないが、小売企業がより戦略的で、データに基づくアプローチを取れば、その影響は緩和できるということだ。筆者らが調査したどの小売チェーンでも、次の3つの方法は一貫して効果を発揮していた。

1. 在庫充足率を改善し、代替品対応の「必要性」を減らす。