社内向けと社外向け双方のバランスが重要

 ステークホルダーは社内と社外にいる。ブランドを強化するためには、社員が主な対象のインターナルブランディング、顧客やパートナー企業などに向けたエクスターナルブランディングのバランスが重要だ。

「社員に向けて『このような姿を目指そう』と呼びかけるとともに、社外の人たちにはそのような姿勢に対する認知と共感の獲得を目指す。インターナルブランディングとエクスターナルブランディング、その両輪を回す必要があります」

 しかし、それを実行している日本企業は少ない。鈴木氏が続ける。

「日本企業にはもともと理念重視の傾向があります。特に、中小企業ではその傾向が強く、社員に理念や価値観を浸透させるインターナルブランディングは比較的強いといえます。一方で、顧客や取引先、社会に向けて自社らしい価値を伝えるエクスターナルブランディングがおろそかになっているケースが目立ちます。ブランディングに十分な予算を割けず、『いいものをつくればお客様はわかってくれる』というマインドが根強いことも、その背景にあります。これに対して、消費者向けビジネスを展開する大企業などでは、広告やブランディングに相当のリソースを投入する一方で、内部向けの取り組みが弱いケースも散見されます」

 ブランディングには人手もお金もかかる。施策の結果がすぐに表れるわけでもない。とはいえ、さまざまな分野で競争が激しくなる中、ブランディングをおろそかにしたままで、企業は成長し続けることができるだろうか。たとえば人材採用である。人材不足が深刻化する現在、企業は条件面だけで選ばれるのではなく、自社の存在意義や提供価値、将来の方向性に共感してもらえるかどうかが問われている。

「エクスターナルブランディングに注力している企業は、『自分たちは何者か、何者になりたいか』を社外に向けて明確に発信しています。そのメッセージに共感した人が応募すれば、入社後も企業の目指す姿を実現する仕事に、やりがいを持って取り組みやすくなります」と鈴木氏は話す。