ブランド経営の3つのポイント。力強いビジネスの成長を

 残念ながら、ブランディングに消極的な経営者は少なくない。一つの理由は費用対効果が見えにくいことだろう。

「ブランディングは単なるコストではなく、将来の成長を支える投資。息の長い取り組みが求められます。強いブランドを持つ企業はそれを実践しています。長期的に必ず回収できると確信しているからです」と鈴木氏は言う。ブランディングは未来への投資。これが、鈴木氏の示す「ブランド経営の3つのポイント」の1つ目だ。

 2つ目のポイントは、ブランディングの取り組みをリードするのは経営者の仕事、ということである。

「ブランドは、企業の進む方向やありたい姿を示す、言わば『北極星』です。人は時に、『自分は何のためにこの仕事をしているのだろう』と悩むこともあります。その時、会社が目指す目的や社会的意義が明確であれば、社員は自分の仕事をその実現に結びつけて捉えることができます。困難があっても乗り越えようとする力が生まれ、長期的に高いモチベーションを保ちやすくなるでしょう。経営者は、社員がその方向に向かって進めるよう背中を押すとともに、ステークホルダーの共感を得られるメッセージを発信し続けなければなりません」と鈴木氏は説明する。

 日本企業の奥ゆかしさというべきか、自社の強みや創出価値について、十分に発信できていない企業は多い。しかし、企業が今日まで事業を続けてこられた背景には、顧客や社会から認められてきた価値が必ずある。経営者はその価値に自信を持ち、自社ブランドを内外に繰り返し語る必要がある。

 先に、ブランドには差別化要素が必要だと述べた。差別化とは、顧客がそのブランドを選ぶ理由であり、価格に反映されるべき付加価値でもある。これが3つ目のポイントだ。

「日本企業の多くは、長らく『いいものを安く』を志向してきました。高品質・高価値なモノやサービスを提供しているにもかかわらず、その価値に見合う価格を十分に打ち出せていないケースも少なくありません。経営者にはぜひ、価値に相応しい適正な価格を、自信を持って打ち出してもらいたいと思います」と鈴木氏は語る。

 価格競争ではなく価値競争。一貫性のある戦略と行動によりブランドの価値を高め、それをプライシングにも反映させる。その先に、いっそう力強いビジネスの成長がある。