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AI導入の代償が大きい「ミドルオフィス」に目を向けよ
AI導入をめぐる最近のエビデンスは、厳しい矛盾を浮き彫りにしている。
導入状況に関する大規模調査と、行政機関が保有する給与記録とを結びつけた経済学者らの発見によれば、ほとんどの雇用主がAIの効果を最も高確率で見込める領域にAIツールを導入したものの、2年後の時点で、収入と労働時間への効果は統計的にゼロと変わらなかったという。優れたテクノロジーがあり、従業員が生産性の向上を報告しているにもかかわらず、期待された成果は最終利益には現れなかった。
なぜだろうか。研究者らによると、ツールによって節約された時間は、ツールを運用するための作業に食い潰されていた。従業員は「浮いた」はずの時間を、モデルの出力への対応や、その出力を既存のシステムや意思決定に手作業で組み込むことに費やしていたのだ。モデルが真の意味で統合されていなかったため、成果は収入や取り戻された時間として顕在化することがなかった。企業には、AIを成果に結びつけるための統合が欠けていたのである。
我々(アクセンチュアとグーグル)は過去1年にわたり、独自の業界横断的な分析と、実際の業務における構造化された実験を進めてきた。その結果に基づき、先進企業が「導入と成果のギャップ」を埋め、ミドルオフィスを変革するために実践している4つのステップを特定した。
AIの導入と成果の間にあるギャップが最も大きく、その代償が最も高くつくのはミドルオフィスだ。つまり、顧客対応を担ういわゆるフロントオフィス機能と、定型的な管理業務を担うバックオフィスの間に位置する、ほとんど見過ごされてきた領域である。
ここは契約審査、リスク管理、コンプライアンスといった、非定型的で例外の多い業務を企業が取り扱う領域だ。ビジネス環境が変化する中で、曖昧さを解消するために、ここでの意思決定は人間の判断に大きく依存することが多い。そして我々の分析によれば、ミドルオフィスは18業界において、労働時間ベースでのタスクの4割超を占めている。したがって、企業における単一の業務領域としては最大であり、AIの価値が最も多く眠る源泉の一つである。
ところが、大半のAIロードマップは、自動化が成熟してAIから得られる成果が薄れつつあるバックオフィスから、ダイナミックプライシングやAI支援による取引形成といった野心的なフロントオフィスへの賭けへと、一足飛びに進む。そのような賭けへの見返りが生じるのは、常に1年先のように思われる。業務の最も大きな割合を占め、大きなリターンを最も早く得られるミドルオフィスは、見過ごされるのだ。
それは間違いである。導入と成果のギャップを埋めるカギは、インテリジェンスの統合を改善することにある。すなわち、有能なモデルを実際の意思決定プロセスに組み込むことで、儲かるモデルへと変える取り組みだ。その成果は劇的なものになりうる。





