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なぜ著書『ピクサー流』の改訂版を執筆したのか
『ピクサー流 創造するちから』(原題 Creativity, Inc.)が刊行されてからまもなく10年になる(執筆時点)。この間、大勢の読者と話す機会があった。どの折にも嬉しいことに、さまざまな職業や役職の方々が、この本がいかにそれぞれの職場で創造性を育み、支援するのに役立ったかを語ってくださった。
しかし、中には私が意図しなかった感想を持たれた読者もいて、もっと明瞭に書けた部分があったのではないかと考えるようになった。 たとえば、本のサイン会では、握手をしながら複数の方から、“創造的組織の青写真”を示してくれたと称賛された。「ピクサーとディズニー・アニメーションが毎回ヒット作を生み出すメソッドをどうやってつくり上げたのかを知って、たいへん勉強になりました」といった言葉をかけられたのだ。
もちろん私たちはそんなことはしていない。どの作品でもそれぞれ固有の壁にぶつかった。制作スタッフはたった一つのロードマップに従ってなどいない。創造性を育むとは、つねに新しい問題を取り除き続けることを受け入れることだ。すべてをわかることなど、決してないのだ。
想像力を解き放つ魔法のカギが欲しい、という読者の気持ちはわかる。そんな単純なことだったらどんなによいかと私も思う。「どうすればもっと創造的になれますか」。この本が世に出てから、何人の人にそう聞かれたかわからない。そのたびに私は「質問が違っている」と答えてきた。正しい質問は、「創造性を阻害している文化的要因は何か」なのだ。本書(原書)の副題は、「真のひらめきを妨げる見えない力を克服する(Overcoming the Unseen Forces That Stand in the Way of True Inspiration)」だが、きっと読み飛ばしてしまったのだろう。
本書『新・ピクサー流 創造するちから』は、こうすれば必ず創造的組織がつくれる、という単純明快な道筋を示すことを意図したものではない。創造性が発揮されやすい組織文化を築くための継続的なプロセスについて書いたものだ。それを実現するには、予測しえぬ失敗や脱線、落とし穴を受け止める受け皿が必要だ。どれほど自己認識が高く、誠実で真面目なリーダーであっても、予期せぬ、時に重大な問題を防ぐことなどできない。
そのことを初版で強調したつもりだったが、強調し足りなかったかもしれない。これからお読みいただくように、私自身も、後から考えれば明白だった重要な問題を見落としていた。健全な組織文化、健全な企業も安泰ではなく、つねに変化している。その変化ゆえにリーダーは警戒心と機敏さを持ち続けなければならず、何より組織の中核となる価値観を守っていかなければならない。
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<ご注意>
・ご本人様限りでご利用いただき、無断転載・転用はお断り申し上げます。
謙虚さと心理的安全性でピクサーを率いた創造的組織づくりの秘密
『新・ピクサー流 創造するちから』
[著者]エド・キャットムル、エイミー・ワラス
[翻訳]石原 薫
[内容紹介]カリスマ性ではなく謙虚さと心理的安全性でピクサーを率いた「静かなリーダー」が創造的組織づくりの秘密を語る。あのスティーブ・ジョブズと鬼才ジョン・ラセター、三人でタッグを組んで、ピクサーを唯一無二のエンタテイメント企業に押し上げた、その歩みと努力、試行錯誤のすべてが詰まった完全版であり最終版。
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