<4>ルール・ブレイカーたれ

 これもまた当然のことですが、グローバルでのビジネスの育成と展開は、既存の枠組みを利用してうまくいくほど甘いものではありません。

 かつては、世界といえば、「欧米」でした。しかし今は、世界といえば「World」そのものです。多種多様な発想、正義、倫理、文化を備えたビジネスパーソンが、自らとは異なる発想、正義、倫理、文化を持つ国でビジネスを成功させようとしているのです。

 つまり、ビジネスに取り組む前提も思想も異なる人たちが、異なる世界観を体現しながら進めているのがグローバル経済であり、そこには、ビジネスの問題を解決する妙薬は存在しないのです。常に既存の枠組みを壊し、作り替えていく。言葉を換えれば、既存のルールを打ち破っていく不断の変身努力が必要です。

 若い人でも既存の枠組みに取り込まれるケースは珍しいことではありません。現在、日本の若者たちが、自分が勤める会社に未来を感じられないでいるのは、定年まで勤めようという守りの構えになっているからです。それを自ら打破していかない限り、ルール・ブレイカーにはなれません。

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 こうして書き留めてくると、今回の対談シリーズは、グローバル人材の要件を探り、それを企業のトップや教育担当者たちに読んでもらうという一義的な企画意図を超えて、若い人たち自身にもグローバル化とは何かを自らの皮膚感覚で考えてもらうための企画になりそうです。

 すでに時代は始まっています。グローバル人材の資質を備えた新世代が、どのような発想、思想、正義、仕事の流儀などをお持ちなのか。彼ら彼女らとの対談を通して明日の道筋を見つけるべく、始めることにしましょう。