ドイツ企業がたどってきた歴史は、奇しくも日本企業のそれに似ている。政府、金融、企業の「鉄のトライアングル」と間接金融、従業員重視の経営、ものづくり中心の経済、株主資本主義とニュー・エコノミーの洗礼、デフレーションと低金利政策、行きすぎたアングロサクソン・モデルへの反省――。そして現在、かつてのドイツ的経営でもなく、けっしてアメリカ型経営でもない「第3の道」を歩みつつある。しかし、その姿はまだはっきりしない。もしかすると、ドイツ企業が置かれている状況にみずからを照らすことで、新しい「日本的経営」の姿が見えてくるかもしれない。そのためには、まずドイツ産業界のマネジメント・システムを理解する必要がある。本稿では、その最大の特徴である「共同決定方式」について解説する。