2005年、筆者らはフォーチュン100社の経営幹部を対象に、そのキャリアパスや昇進年数などを調査、1980年と2001年の状況を比較した。それから10年。リーマンショックなどを経て、経営層に至る道はどのように変わったのだろうか。生え抜きか外部出身者か、アイビーリーグ校のMBAは有利なのか、役員の女性比率は……。経歴、教育、ダイバーシティ、キャリアパスの4つの側面から示す。

経営者のキャリアパスは
時代とともに変わる

 各々の時代には、その時代特有の経営者像がある。100年前、有力な大企業の多くを導いたのは起業家だった。自動車メーカーを設立したヘンリー・フォード、ゼネラルモーターズ(GM)に自分の会社を買収された後にGMの社長に就任し、GMの黄金時代を築いたアルフレッド P. スローンなどである。1920年代には、経営のプロが会社から会社へと渡り歩いて要職に就くようになった。1950年代は、生え抜き社員がたたき上げでトップの座まで上り詰めた。

 経営幹部のプロフィールは変化し続けている。本稿の筆者の2人(カッぺリとハモリ)は「『フォーチュン100』経営者のキャリア・パス[注1]」の中で、フォーチュン100で上位10の役職に就いていたリーダーたちを1980年と2001年とで比較した。その結果、生え抜き組が急減したこと、それに伴い、出世が早く1社に長く留まらないヤングエグゼクティブが増加していることに注目した。本稿では2011年まで拡大して分析を行っている。